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一般社団法人 日野野青年会議所
2016年度 理事長 宮崎 寛康

Discover New Value! ~その先の未来へ~

はじめに


日本という国は、いつから変わることを、遠ざける国になってしまったのだろう。
 
近頃この日本では、せっかく生まれたイノベーションの芽が摘まれてしまうことを、良く目にします。私だけがその変化を歓迎しているのか、それとも自分の感覚が世の中とずれているのか、その様に考えてしまう時もあります。
何かを失うかもしれない、現状を守りたい、とりあえずいつも通りで…。変化を恐れる人たちの理由も様々でしょう。でも、私は変化しないことの方が怖いし、変化しない未来に希望を持つことができません。私は、現実の全てを肯定した上で、前向きに変えていくことに未来を感じます。
 
科学技術をはじめとして、画期的に人々の生活を変えていくものには、全てリスクが伴います。また、ゲームやSNS、コンビニエンスストア、お笑いなど、流行っているものや便利なもの、面白いものには、人を堕落させたり、引きこもらせたりさせる要素を持っているものもあります。
それらを危ないもの、駄目なものとして否定したり遠ざけたりすることに、未来はあるのでしょうか。誰かが個人的にそうすることはもちろん自由ですが、社会がそうなってしまうと、その先には停滞や衰退しかありません。
流行っていくもの、生活に浸透していくものには必ず理由があります。それは人間としての本能が求める欲望を満たすものです。そしてそれらはいくら否定をしても、その次のイノベーションが起きるまでは、必ず残っていくものです。
 
国や地方自治体という、大きな単位で見逃してしまう変化の芽を、私たち地域の青年が1つ1つ発見し、1つ1つ大切に育てていくこと。新しい価値を発見し、発信していくこと。想いを伝えて、周りの意識を変えていくこと。その先に、私たちの未来があります。
青年世代が減少していくこの時代において、私たち青年会議所が背負っている責任は、自分達が考えている以上に重いのです。しかし、その重さを「やりがい」や「楽しさ」に変えていけるエネルギーを私たち青年世代は持っています。楽しみながら、ワクワクドキドキしながら、私たちは新しい価値を探しに行けるのです。
Discover New Value
「その先の未来」は、私たちが本気で求めれば、きっと見つけ出せるはずです。
 
日野の街は美しい、そして、私たちはもっと楽しめる
 
日野の街を車や自転車で走っていると、ハッとするほど美しい景色に出会う時があります。豊かな自然の景色はもちろんのことですが、多摩丘陵に沿って建つ住宅群や、街の上をモノレールが颯爽と走っていく景色なども、自然だけで構成された景色ではありませんが、本当に美しいと思う時があります。
 
時々、私は夢を見ます。
「日野」という街が、1つの公園の様な街にならないかと。
 
その公園には、美しい川とそこから分岐した用水路があり、人々は川に集い、子供達は川で遊ぶ。そしてその公園には豊かな緑があり、人々はそこで森林浴をして、子供達は虫を採る。さらにその公園には、小高い山があり、人々はその頂上からの眺望を楽しみ、子供達は未来への希望を見つめる。
公園内には、サイクリングロードがあり、人々は自由に広い公園を周遊し、様々な場所に設置されたレストランやカフェで休憩をとります。そのお店は、個性的で多国籍で素敵なお店ばかりです。もちろん、その公園は、誰にでも優しいユニバーサルデザインで設計されており、車椅子や障碍のある方も、園内を楽に移動できます。
公園に集う人々や子供達は、この公園のことが本当に大好きで、ゴミを捨てたり、園内の物を壊したりなどは、絶対にしません。むしろ、みんなが気持ちよく長くきれいに使えるように、マナーを守りながら公園を楽しんでいます。
 
私は先ほど「夢」と書きましたが、日野に住んだり、集ったりしている人々の中には、日野の素晴らしさに気が付き、既に日野を120%楽しんでいる人々もいます。その一方、まだこの日野の豊かさや素晴らしさに気が付かず、楽しめていない人々が大勢いることも事実です。
もちろん、日野に多く存在する坂や丘を「登るのが大変な場所」、川を「大地を二分割してしまう、氾濫の可能性もあるもの」とネガティブにとらえることもできます。しかし、その坂や丘、川があることをポジティブにとらえ、「むしろ楽しむ」ということは、成熟社会の豊かさと言えるのではないでしょうか。
また、「観光」に対しての考え方も、外から人を呼ぶという考え方だけではなく、18万人住んでいる市民が「日野」という地をとことん楽しみ、その楽しんでいる様子が周辺の噂となり、さらに外からも人が入ってくるという流れができたら理想的です。
 
本年度日野青年会議所は、私たちが考える新しい「日野の楽しみ方」を提案し、地域経済と市内観光の活性化につなげて参ります。
 
子供達は「日野」そして「世界」の未来

青年会議所は、「明るい豊かな社会を築く」ことを目的とした団体です。
お祭りや大きなイベントをすることも目的達成するための手段の1つですが、長期的に「明るい豊かな社会を築く」ためには、何より子供達が成長したり、何か新しいことに気が付けたりする機会を、大人達がつくることが大切です。そして私たち青年会議所は、学校教育でも家庭教育でも行政でも、効果的な対応や対策や取りづらい分野に対して、運動を行うことが求められています。
 
さて、今の子供達が大人になった時の社会とは、どんな社会なのでしょうか。
きっと現在よりも周辺には外国人の方々が多くいて、外国に行く機会も増えていることでしょう。働き方やお金の考え方も、大きく変わっているかもしれません。テクノロジーはさらに発達し、自動運転の車が普通に走り、様々な所でロボットが活躍していることでしょう。国際情勢も様変わりしている可能性があります。確実なのは、自分達の世代よりも年上の世代が、社会の多くを占めているということでしょうか。
 
そんな未来に生きる子供達にとって、特に必要な「力」は、「自分の頭で考え、主体的に行動できる力」です。受動的に生きていても、国や社会が自分達の生活やアイデンティティを守ってくれる時代は、終わりを告げようとしています。主体的に自分の頭で考え、答えを探し、選択していく。様々な局面でそのようなことが求められてくるのではないでしょうか。また、同じ「考える」にしても、「前向きに」、「希望を持って」考えらえるかどうかが、大切なポイントです。世の中は悲観的に考えれば、いくらでも悲観的に考えられます。ただ、一見悲観的に見える物事や状況も、見方を変えればプラスに転換します。そのように考えられるかどうかで、人生が大きく変わってくるのです。
 
そしてもう1つ、時代に関係なく子供達が生きてくために身に付けるべき素養は、「礼儀」や「礼節」です。「人間」という単語は、「人(ひと)」の「間(あいだ)」と書きます。人間として生きるということは、人の間を生きていくということです。子育ての達人と私が尊敬する方が言っていました「挨拶がしっかりできれば、人は生きていける」と。その話しを聞いたとき、私は素直に深く納得しました。挨拶をはじめとする「礼儀」や「礼節」は、人の間を生きていくための術であり、社会を社会として成り立たせるための基本となるものです。
 
私たち青年会議所は、子供達が自分らしい人生をしっかりと歩める力を育むと共に、その子供達がさらに「明るい豊かな社会」を築いていくため、精一杯運動していかなければなりません。
 
多様でより魅力的な「チームHINO」へ
 
私は、「青年会議所」という組織は、とても素晴らしい組織だと思っています。
特に何が素晴らしいかというと、「新陳代謝の仕組み」があることです。全ての会員は、必ず40歳の年に卒業しなければなりません。さらに、1年ごとに理事長をはじめとする役職が、一気にガラッと変わります。このルールで運営されている青年会議所であるからこそ、より多くの青年経済人に様々な機会が提供され、独立した青年団体としての存在を保つことができるのです。
 
その一方で、組織的に整備が遅れている部分もあります。現在の青年会議所に「多様性」を尊重する制度や風土はあるのでしょうか。ここ数年、日野青年会議所にも女性会員や会社員のメンバー、飲食業を営むメンバーなど多様なメンバーが増えてきました。また、共働きで家事や育児を分担している男性会員も、以前より増えてきています。私は、「多様性の中に新しい価値が生まれる」と考えているので、この傾向は大変歓迎すべきことだと思っています。
 
しかし、青年会議所はどちらかというと、日中に働いて夜が比較的自由になる若手経営者の生活ペースに基づき、会議の時間や場所などが決められてきました。この現状の制度は、ワークスタイルが違うメンバーや夜が自由にならないメンバーなどにとっては、積極的な参加を阻むものになってしまいます。結果的にスリーピングメンバーになったり、志半ばにして会から去ってしまったら、青年会議所がより魅力的な組織となる可能性を低下させてしまう原因にもなり得ます。
 
今年度は、「青年会議所らしさ」を維持しつつも、「多様性」を尊重できる組織にしていくために、会の在り方や運営方法について議論する機会を持ち、組織の価値向上につなげて参ります。
 
「つながり」を増やす運動の拡大
 
私は青年会議所に仲間を求めて入会した訳ではありませんでした。純粋に「まちづくり」に以前から興味があり、地域に生きる企業としての想いもあって、青年会議所の門を叩きました。しかしながら、ふり返ってみると、驚くほど多くの人との「つながり」を得ることができました。このことは、入会前の自分には想像ができなかったことです。
 
人とつながり、仲間になると、その地域に愛着が湧き、より一層その地域のことが好きになります。そして、つながった者同士が、互いに助け合い、自分達の街や周辺の環境をより良くしようとします。これは何よりの「まちづくり」であり、青年会議所の「明るい豊かな社会を築く」という目的に適うものです。
 
私たち日野青年会議所が、より多くの「つながり」をこの街に増やしていくためには、現在よりも多くの共感を地域の方々から得られる事業や運動を展開すると共に、私たちの存在自体をより多くの人々に知っていただく努力をする必要があります。ホームページやSNS、会報、市内イベントへの参加などによる組織的な情報発信力の強化だけではなく、メンバー個々人のコミュニケーション能力の向上にも力を入れていかなければなりません。
 
組織的な情報発信やメンバーの能力向上の取り組みを、継続して行っていくことは、想像以上にエネルギーが懸ります。しかし、大変だからこそ「大」きく「変」われるのです。この努力は、必ず「日野青年会議所」のブランドを形成することとなり、青年会議所運動の根源でもある会員の増員にも寄与するはずです。
 
私たちがつくる1つ1つの「つながり」が、この街、そして日野青年会議所を1歩1歩前へ進ませる「力」になると心から信じ、メンバー全員で精一杯取り組んで参ります。
 
むすびに
 
「街」は人々の「想い」で全てが出来上がっています。
 
日野をより良くしたいと想う人が増えれば増えるほど、日野が良くなっていくのは間違いありません。逆に、自分だけが良くなりたいと思う人が増えるだけでは、街は良くなりません。
 
JC運動の根幹は、地域をより良くしたいと思う人を増やすことです。
 
青年会議所が他の団体や企業と違うところは、決まった活動がないところです。私たちは永遠の運動体であり、その地域やその時代に応じた運動を自由に展開できる、「想い」を拡げていくのには最適な団体です。
 
私は、日野青年会議所のリーダーとして、誰よりも本気で「日野をより良くしよう!」という想いを持ち、全ての事業や活動に取り組むことを、ここにお誓い申し上げます。