一般社団法人日野青年会議所2024年度 理事長所信

第52代理事長 白子 惣一郎

『環』

【はじめに】

昨年は日野青年会議所の創立50周年という節目の年を迎えました。この喜ばしい節目 の年を迎えることができたことは、一年一年を大切に引き継いでいただいた先輩諸兄姉の 皆様、並びに日野市内の関係諸団体の皆様をはじめといたしますご協力いただいた多くの 皆様のおかげです。本年度は日野青年会議所がこの先もまた50年続く、まちに貢献する組 織としてバトンを繋いでいく新たな一歩として考えております。
さて、私は日野青年会議所に入会して7年目を迎えることとなりました。入会した当時 のメンバーは、事業主や政治家の方がメンバーの多くを占めておりました。しかしながら近 年は私を含め、サラリーマンや公務員などの従業員が増えてきており、お金や時間に制約の あるメンバーが増えてきています。また、社会や時代の変化はインターネット、SNS、AI な どの IT 技術発展とともに加速度的に変化しており、新型コロナウイルス感染症により生活 様式が変化し、近年では多様性や働き方改革という言葉が叫ばれるようになり、日野青年会 議所の内外を問わず取り巻く環境や常識も大きく変わりつつあります。そして、コロナが収 束し通常通りの活動ができるようになり、その活動の結果、次第にメンバーも増えてきたと ころでありますが、入会歴の短いメンバーが多いのが実状です。
そのような状況の中で、どのように日野というまちに貢献できるかということを真剣に 考えていかなければなりません。私はこの6年間、日野青年会議所やその活動を通して日野 というまちに育てられ今の私があると思っています。その感謝を込めて、これから生きる人 に、その息づくまちに良いところを残し、バトンを繋いでいきます。そして、ここ数年の活 動や運動を顧みても、今までと同じように活動していくことがこの先50年続く価値ある 組織として、存続してくとは思えません。多種多様な仲間を増やし活躍ができるように、『時 代や環境の変化』に柔軟に対応し、しっかりとどこに注力していくか『選択と集中』ということを意識し、試行錯誤を繰り返すことで、メンバーそれぞれがまちに対する自らの考えを 持ち活躍ができるよう、そして何よりもメンバー全員が一丸となり、やりがいを持ち楽しん で活動ができるような青年会議所を創っていきます。

【まちに対する思い】

私は神奈川県の相模原市で育ちました。26歳のときに日野の職場で働くこととなり、5 年間が過ぎたときに、日野青年会議所に入会をいたしました。入会する前は日野に働きに来 るだけで、日野についてほとんど知ることはありませんでした。しかし、この入会してから 6年間で日野について調べ、青年会議所のメンバーや先輩、役所や地域の方々などたくさん の方とお話し、まちについて多くを知ることとなりました。そして日野というまちが好きに なりました。
古くからの歴史があり、多くの水資源があり、様々な動植物が息づき、農のある風景があ り、自然が豊かな閑静で穏やかなまち、繁華街や都心などへのアクセスもよく暮らしやすい まちでもあります。そして何より穏やかな方々が多く、“人の優しさ”がある、愛着の湧く魅 力のあるまちであると思います。
しかしながら、ただ働いている、住んでいるだけではなかなか見えづらい魅力も多く、近 年では区画整理やベッドタウン化、ライフスタイルの変化などを要因とし、まちが大きく変 化していく過渡期であります。そして日野市が策定した『日野地域未来ビジョン 2030 の基 本的な考え方』の中で『今日のような時代の転換期においては、状況や課題の移り変わりが 早く、明確な将来像を描き切ることは困難』とあり、私自身も同じように感じています。価 値観や仕事など様々なことが多様化し、時代の移り変わりが早くなり、まちにとって何が良 いか悪いかの決断が複雑で難しい時代となりました。
そのような変化の激しい状況の中で、今後、我々日野青年会議所がこの魅力のあるまちを どのように残していくのかを考え、後世に伝えていく運動をしていくことが我々の“役割”で るあと考えております。そのために本年は、事業を通じて、メンバーが日野というまちの魅 力を知り、各々のメンバーがこのまちのビジョンを描けるようになることで、この先の日野 青年会議所の運動に繋げていきます。

【輪を広げ、仲間を増やす】

昨年度の準備段階ではメンバーの人数は二十名を割っておりました。現在は拡大活動の 結果メンバーも増え、二十半ばほどの人数になりました。しかしながら、私が入会した際に は、四十余名で、その当時と比べると約半分程度の人数です。組織として、活動するために はまだまだ人数が少ない状況です。本年においても卒業生が多く、それを上回るほどの人材 の確保に努めなければなりません。そして様々な多くの仲間が入ることによって、日野青年 会議所の中での価値観や運動に幅が広がり、それが運動に繋がっていくと思います。また、 価値観や運動の幅を広げることは“メンバーを増やす”ということだけに限りません。対外の 団体との関わりを持つこと、協力関係を築いていくことで仲間をつくり、日野青年会議所の輪を広げていくことも大切なことと考えています。
現在の入会のきっかけはメンバーの知り合いや声掛けによる入会者、そして先輩諸兄姉からご紹介いただいた方が多くの入会に繋がっています。我々自らがしっかりとアンテナ を張り、入会対象の方に関する人柄や情報などを会全体で共有をし、日野青年会議所の認知 度を上げるために日々の活動や運動の発信を行い、先輩諸兄姉のご協力も得ながら、新しい 仲間を増やしていきます。そして新入会員が次の時代を創るメンバーとなるようしっかり とフォローをしていきます。

【交流活性と組織運営】

日野青年会議所は『一般社団法人』として法人格をとっております。総会については、毎 年3回行っております。その総会は法令や定款に則り、過去の経験を活かし、変えるべきと ころは変え、次年度以降へ積み重ねができるよう運営していきます。
また、残念ながら様々な事情で、退会してしまうメンバーや参加から遠のいてしまうメン バーもいます。もちろん家庭や仕事の事情で致し方ない場合もありますが、メンバーや青年 会議所の価値観とそりが合わずに退会してしまう方もいます。近年は入会歴が浅いメンバ ーも多く、夜の飲み会もなかなか参加できないメンバーも多くいます。メンバーそれぞれが お互いについて、その人の人柄や状況などを知りながら、日野青年会議所という会のみんな が助け合い、そして青年会議所の活動という枠の中だけでない、生涯の仲間になれるように 交流を活発にしていきます。

【結びに】

『日本の刀の一番優れている点は何か』という問いが今も私の心に強く残っています。 その答えは『撓る(しなる)』ことでした。強く固く造るのではなく、撓るように造ること で折れにくい刀となる。“人”も“組織”も靭やかにあることが真に強いものとなるように思い ます。
また、『社会を変える、まちを変える』という言葉は青年会議所の活動でよく耳にするス ローガンであります。私は社会を変える、まちを変えるとは社会やまちの“あたりまえ”を変 えていくことにあると思います。そして、自分たちの組織の“あたりまえ”を柔軟に考え変え ていかなければ、社会やまちの“あたりまえ”を変えることはできないと考えています。
既存の概念にとらわれず、我々が日野のまちに何ができるのか、日野をどのようなまち にしていくのか、そのためにどのような運動を展開し、活動していくのか。一年で“答え”を 出せるとは思いません。その一歩を踏み出し意識をして活動していくこと、毎年毎年の積み 重ねと柔軟さを兼ね備えた団体となるように、まずは行動することとフィードバックを繰 り返し、そしてメンバーがやりがいを感じ楽しく活動していくことで、会が一丸となって活 動や運動ができるように尽力して参ります。

そして次の世代へと『絆』が輪となり、めぐる『環』となるように。